2011年5月30日月曜日

夏へ向けての大実験

今日は、朝は雨が降り、昼は晴れたかと思えば、午後~夕方は強風により樹木の枝葉が散乱しているような一日でした。

これから先、夏へ向けて電力が足りなくなることが予想されています。

会社として、電気を使わずに自然のエネルギーを有効利用し(パッシブソーラーシステムのようなもので)、涼しさを得ることが出来ないものか考えました。
(※パッシブソーラーシステム → 動力を使わずに自然のエネルギーを用いたシステムのことをいいます。太陽光で得たエネルギーにより、機械設備等を動かすシステムはアクティブソーラーシステムといいます。)
そのひとつとして、夏場は窓の外側に緑のカーテンをつくることで室内への太陽光を遮蔽する。
→ 緑の大実験と称して、会社の南側の窓に緑のカーテンをつくろう計画を始めました。

竹とホームセンターで売っている網でネットをつくりました

ホームセンターに写真のようなネットが売られているのですが、最近は人気があるようで購入するのも早くお店へ行かないと買えないような状況でした。

アパートや貸家などで、直接建物へ建て付けることが不可能な場合には、植え込み部分にネットを自立させることで緑のカーテンの設置が可能となります。(今回、自立型を設置)

植え込み部分に竹の支柱を自立させました。



 
鉢にゴーヤ(にがうり)を植えました。ロープを伝って伸びていくでしょうか。
ホームセンターに売っている野菜栽培用の土で十分です。
ホームセンターで売っているプランター栽培用の土は、あらかじめ栄養分が調合されているので、通常は腐葉土や黒土などを混ぜ合わせる必要はありません。

今回は、実験的に腐葉土と黒土を混合させています。
栄養過多となって、成長が良くなるか、あるいはその逆でしおれてしまうか。

これから先、経過観察してみます。

2011年5月26日木曜日

ランドスケープ といっても中身はいろいろです。

ランドスケープという言葉。

日本語にすると、造園という言葉に置き換えられてしまいます。
日本の造園というと、庭造りなどを連想させてしまい、グランドデザインの意味合いが薄れてしまうように感じます。
(海外のランドスケープという言葉とは、微妙にニュアンスが違うように感じてしまいます。)

実は、ランドスケープといっても建築や土木と違って、この言葉の定義づけが非常に難しいところです。


造園、ランドスケープ分野では、計画や設計、施工をしている技術者はいろんな思考の人が集まって仕事をしています。

自然植栽を重んじる自然派の人、都市的な空間デザインを重んじる建築や都市を考える人、公園などの自然と施設とが融合した憩いの場を考える人、箱庭を考える人、洋風的な景色を考える人、和風的な景色を考える人、日本の伝統文化、歴史を考える人...

言葉的には「造園」や「ランドスケープ」とひとくくりにされていますが、同じ言葉でも中身のアプローチの仕方は様々です。

植生が強い技術者もいれば、外部の生活空間を構成するのが得意な技術者、
広いことを捉えることが得意な技術者もいれば、狭小のおさまりを捉えることが得意な技術者、
理論が得意な技術者もいれば、形を表現するのが得意な技術者もいて、様々な技術者が集まっています。
ですから、それをひとまとめにするのはある意味大変なことでもあるのです。


それぞれの得意分野のいいところを抽出し、またお互いを尊重していくことがランドスケープ分野をとりまとめるひとつの鍵であります。

そして、ランドスケープ分野で完結するのではなく、都市計画、建築や土木などの他分野とも連携し、人々が住みやすい世界をつくっていくことが、おのおのの技術者に課せられた使命、共通の目標であります。

2011年5月21日土曜日

羽根木プレイパーク

プレイリーダーのいる公園のさきがけとなっている
羽根木プレイパーク。


世田谷区の小田急梅ヶ丘駅のそばの区立羽根木公園の中にあります。


プレイパークは雑木林の中に形成され、自然の素材(樹木など)を組み合わせた冒険遊び場のことであります。
冒険遊び場:ツリーハウスのようなものもあり創造性を育みます。

遊びの道具も手作りです。


栃木にいると、あまりなじみが薄いことかと思いますが、ここは自分の責任で自分で考えながら遊ぶといったアスレチック的な遊び場ともいえます。

またプレイリーダー(の存在)が、自分より小さな子どもたちに安全や危険を教えることもされており、ひとつのコミュニケーション社会ともなっています。
また、親御さんも積極的にかかわっており、地域のイベントにも活用されている密度の濃い遊び場空間(コミュニケーション空間ともいえる)です。

子供の遊びについては、都内のプレイパークで遊ぶ子供たちと地方のあまり子供のいない地域で遊ぶ子供とでは、都内の子供の方がたくましくなっている現象も見られます。
(大人でもそうですが、東京へ通勤する人と地方で通勤する人は、東京に通勤する方が実はたくさん歩いているのです。)

みどりのトラスト基金への積立 ピンバッチ

緑についても、東京と栃木では貴重さや大切さの度合いが異なっていることは承知でありますが、東京では、緑を大切にする気持ちが強いように思えました。

2011年5月19日木曜日

園地空間の計画と設計 と 道路設計の違い

地方では、まだまだ園地空間の計画および設計と道路設計などの一般土木設計においていろんな意味でひとくくりにされがちです。

業務の進め方においても、道路詳細設計の進め方と園地空間の計画や設計とではペースも方法も異なってきます。

【方向性が決まれば、一定のスピードでこなすことができるのが道路詳細設計】
道路詳細設計の場合、関係する機関の調整(上下水道、電気などの調整や、交差点協議などの警察協議)が決まれば、固定された考え方や方式で設計の業務を遂行することが可能な分野です。
比較的、スケジュールどおりにこなすことが可能な業種です。 パターンに当てはめていくので、測量設計の会社向きです。

【ひとつひとつの難題をクリアーしつつ、多分野の調整や考え方を盛り込まなくてはいけないのが園地空間計画や設計】
技術論だけでは片付けることが難しく、そのほかに風景のこと、利用者のこと、植物などの生態のことなど多分野にわたり考えていかなくてはならなく、苦労が多い分野です。業務の進行についてもパターン化されているようでも、進めると問題点がいろいろと出てきたりし、調整に手間取ったり、調整が進まないと業務が停滞してしまうこともしばしばあります。柔軟に対応しなくてはいけない業種でもあります。
測量設計の考え方だけでなく、社会のことなど広く捉えながら行わなくてはいけないので、創造力を使います。 (計画と実施の双方の頭脳を使います。)


上記の2つを比べると同じようでも、業務の進め方が大分異なっているのがわかります。
また、 実施設計の考え方と計画設計の考え方や使われる頭脳分野も異なってきます。


違う分野の方々同士が同じ土俵で仕事をするためには、双方のことを理解しながらやっていくことが円滑に仕事を進める為の鍵となります。

2011年5月16日月曜日

建設系の学会による震災関連の報告会

日本建築学会をはじめ、土木系、地質系、都市計画系の学会などでは、東日本大震災関連の状況の報告会およびこれからの方向性などを協議しているところであります。

日本建築学会では、インターネット動画を用いて広く皆様にご覧いただけるように報告会などをリアルタイムで公開していました。
(5/16(月)の午後には、建築関連団体東日本大震災報告会がありました。)

ランドスケープに通じるものとしては、津波で流されてしまった、失われた町のストックにおいて、その土地の記憶や文化、風習としてあったものを今後、過去のものを活かしながらどうあたらしいものへ再生していくかが問われています。


造園関係においても、5/21(土)に、日本造園学会主催の震災関連の講演会が世田谷の東京農業大学で行われます。

 

(社)日本造園学会 東日本大震災復興支援緊急集会

- 復興にむけてランドスケープ学術に何が可能か、何をすべきか -

(造園関係のCPDに登録されている方は、単位が記録されます。)
詳しくは、日本造園学会のホームページ(http://www.landscapearchitecture.or.jp/dd.aspx)にて記載がありますので、関係する方々は一度チェックしてみてください。

2011年5月15日日曜日

いろどり ~いろんな種類のつつじが咲く季節になっています~

公園や街路樹などで多く用いられてるツツジ。

ツツジといってもさまざまなものがあり、常緑樹であるもの、落葉樹であるもの、花の色が白いもの、桃色のもの、赤いもの、朱色のもの、紫のものなど多種多様です。

あおぞら公園(芳賀町)

なかよし公園(芳賀町)

3色のクルメツツジが並んでいます。(芳賀町)

栃木県内でも、いろんなつつじの里があります。天気が良ければツツジが一面に広がる近隣の公園などへお出かけになることもいいのではないでしょうか。

これから初夏にかけて、公園や街路にツツジの彩りが添えられます。

2011年5月11日水曜日

公園や屋外空間の風景づくり

公園をはじめとする屋外空間(の設計)は、平面計画だけではつくりあげることが出来ない、立体的でもあり、情緒や人々の生活まで様々な要素があります。

その中でも、「風景の計画」は公園や屋外空間を設計する人間としては切り離せない要素となっています。

ある事例として、大学の設計課題や業務の設計のフィールドにおいて、与えられた敷地で完結させてしまうことがありますが、地域の空間づくりでは外部要素を取り込むことも、その中の空間づくりには欠かせない重要な要素となっています。
(ランドスケープの技法で、様々な景色をつくる手法があります。)

最近は、防犯面の解釈を過度になりすぎて、のっぺらぼうなフラットな公園があります。
街区公園レベルのフラットな敷地であれば、状況によっては仕方ないかもしれませんが、近隣公園以上の公園においては、せっかくの広々空間にフラットな平面的な空間では、せっかくの屋外空間の魅力度が半減してしまいます。
魅力度を保ちつつも、防犯面も考慮していくことに挑戦することが、空間を設計する技術者に必要なことです。

景色をつくるということは、公園内部の立体的な空間とそこから見ることが出来る外部空間の風景(借景など)をうまく取り込み、その土地の屋外空間をデザインすることであります。


土木的な、技術論だけでは、つくりあげることは難しく、
情緒や居心地の良い空間をつくることが、ランドスケープ、都市空間の設計の使命でもあります。

「写真を撮っても、様になる空間をつくりあげること」 もひとつのキーワードです。

2011年5月10日火曜日

災害査定について(書類簡素化の流れ)

震災の影響で、栃木県も測量設計会社を中心に様々な会社の協力体制により災害関係の調査を行っています。

被災の種別としては、道路、橋梁、上下水道などのインフラや建物や塀まで多岐に渡ります。
公園の場合は、地割れや公園施設の倒壊など多数ある地域もある状況であります。

災害査定の記事 4/28日本工業新聞 栃木版によると

今回の震災は、局所的でなく広範囲によるものであり作業量も膨大になっています。

国の方より、書類づくりに時間をかけて精を出すことよりも、迅速に状況がわかるように必要最低限の書類づくりでよいという考えを公表していただいております。

何よりも、多くの被災地、被災者がいるわけですから、本来の目的としては細かな書類作りよりもいち早い復旧、復興の方に力を注いでいくとの表れなのだと思います。


東日本全体を見ても、主要道路については、応急的に段差を解消している程度で、震災前の姿に戻すには長い年月がかかることが予想できます。

これから先、いち早く復旧が進むことを願います。

2011年5月7日土曜日

東関東における被災状況は

東日本大震災のつめあとは、東北だけでなく栃木県を含めた北関東、茨城県、千葉県がある東関東においても多く見られます。

茨城、千葉においては、地震による液状化現象と津波による被害が見られています。
重要伝統的建築群保存地区に指定されている千葉県の佐原の町並み(香取市佐原)では、伝統的建造物の破損や川底の隆起が見られています。
伝統的建造物に指定されていると、復旧するにも持ち主の意向だけでは復旧できなく、国の許可が必要となり復旧には長期化されることが見込まれます。

小野川 川底が隆起してしまい一時水の流れをふさいでしまった。

護岸や柵が崩壊している箇所が数か所見られた。

測量で有名な伊能忠敬の旧家も被災に

千葉県の浦安市もそうですが、香取市周辺や茨城県の神栖市、潮来市周辺は昔は砂地であったり、沼であったところもあり、それらを埋め立てた地域では、その場所を中心に道路が波を打ったり、段差が生じたり、電柱や家は傾いたりなどの被害が見られています。

マンホールが隆起 (香取市)
地震による道路の波打ちのほかに液状化により砂が吹き出て(堆積して)いる (神栖市)

鹿島港周辺の被災状況(神栖市)

また、北茨城~大洗と同様に鹿島港周辺、千葉県の旭市飯岡地区では津波の被害もありました。


津波により、貨物コンテナが陸地内部へ流れてきてしまった(神栖市)

津波の被害を受けた飯岡地区(旭市) 湾の中央が波が集中してしまい被害が大きい

今回の震災は、東北地方の沿岸地域は地震と津波により甚大な被害を受けましたが、関東地方の太平洋沿岸地域や東京湾沿岸においても地震、津波、液状化などの被害が見受けられています。

液状化の被災を受けた被災地域でも、数件となりは大丈夫であったりするところもあり、地盤の性質のほかに盛土造成されたところと、地山を造成したところとの違いによっても、被災の状況が違うことがわかります。

耐震構造で建物が地震の被害から免れたとしても、津波や液状化についてはスケールが違うことから被害をこうむってしまうことが今回明らかにされてしまった感じがします。
そして、個別の耐震対策は行ったとしても、都市を設置する場所が被災を受けるリスクが高ければ被害は出てしまいます。


公園においては、防災公園が新しく計画されつくられているところが多く見られてきていますが、津波の被害を受けないところにつくることも重要な要素のひとつでもあります。

復興へは、「まちをつくる総合的な計画」と「昔からある地域を守ること」などハード面、ソフト面含めていろいろと調整することがありそうです。

2011年5月1日日曜日

東日本大震災 復興へ動きと取り残されているもの

東日本大震災において、被害にあわれた方々のことを思うと非常に心が痛みます。また、適切な行動や声掛けができていないことに関しては反省すべきところがたくさんございます。

復興へのムードが非常に広まっており、日常の生活が行われているところも一部あります。しかし、今回の災害における被害は甚大であり、遠慮がちな人が多い東北人は我慢を強いらているのも事実であります。


仙台駅(4/30 9:00ごろ) 鉄道の機能は暫定的に回復しているが、地震のつめあとが多く残っている。

【ハード面で言えば】
駅周辺のビル群は、立ち入り禁止のところもあり。
東北自動車道は、機能が完全に回復とまではいっていない。(暫定的に段差をすりつけている。道路の縦断勾配が震災前と比べなめらかさがなく、波を打っている感じです。)
東北新幹線は、普段より本数も少なく、徐行区間もありプラスαの時間として最長1時間ほど余計にかかる状況。


【被災地の現状】:報道では、いいところや華があるところ、一部しか伝えられていないのが現状。
東北で、被災にあわれた方々を支援する活動をされている方にお話しする機会があり、わかったことがございます。話せば話しきれないほど多くあり、複雑でもありますが、ポイントでお伝えできることとしては、

・ 被災地域によって、被災支援の格差がある。
・ 支援物資のミスマッチがある。(適切な配分、量と質の問題がある)
⇒ 足りている物資と、足りていない物資のアンバランス
・ 精神衛生的な問題が山積みである。気持ちのケアが必要。

支援の全てを平等に配分する、実行することに対して いろんな障壁がまだまだあります。

【設計を生業にしている技術者として】
日常の生活では、何らかの形で支援活動は可能でありますが、
では、専門的に空間設計をやっているものの立場として何ができるかを考えると

日常の生活へできるだけ戻してあげられるような空間を提供すること。情報発信をしていくこと。であろうかと思います。

仙台市の榴岡公園(つつじがおかこうえん) 昔ながらの遊具が健在で子供たちが遊んでいます。

しだれ桜が咲いています。華もありと震災にも負けないというあらわれでしょう。

被災にあわれた子供たちは、遊びたい。しかし周りの状況が許さないことを察知し、思いっきり遊べない。

関係する業界の中では、子供たちへの支援として遊び場を提供してあげたりする動きもあります。

普段の生活で何ができるか、仕事を通じて何ができるか、を今一度考えるときであります。


栃木県も被災にあったところもありますが、北関東に立地し東北の玄関口、中継基地としての役割もあることかと思います。

被災地向けの支援の活動。栃木県の立地からできること。県内の被災の復興はもちろんのこと東北・東関東の復興へ向けて出来ることを少しでもやっていくことが必要です。