2010年10月16日土曜日

鬼怒川の河川環境

栃木県を流れる代表的な川のひとつに鬼怒川(きぬがわ)があります。鬼怒川は栃木県の日光市から宇都宮市の東側を縦断し、茨城県西部を縦断した後に利根川と合流する河川であります。






現在COP10の会議が名古屋で行われていますが、その中にさくら市のカワラノギクのレポートも議題に上がっております。これは、地元の方々と国土交通省、学術研究機関などとが協力して、従来あった河川環境を再生し、守って行こうという取り組みであります。





現在鬼怒川沿線では、外来種のシナダレスズメガヤが繁茂し、在来種の植物の生息環境を圧迫した結果、ミヤコグサなど日本に古来からいるシルビアシジミという蝶の生息環境もなくなってしまっているという状況になっています。


シナダレスズメガヤがどうしてこんなに繁殖してしまったのか。

上流域の山地の法面(のりめん)の崩壊を防ぐために、コンクリートを利用した人工的な構造物の代替として、自然系の法面崩壊の保護工法としてシナダレスズメカヤの種子を吹き付けました。
(根がしっかりと張ることができ、斜面の崩壊には効果が大きい)



結果、法面の崩壊は防ぐことが出来ましたが、年月が経ちその種子が川の上流域から下流方面へ流れつき河川護岸などに多く生息する結果となっています。皮肉なことに、当時重宝されていたのが、今になって厄介者の扱いになっております。


現在は、地元の方々、高校生、大学生、小中学生などのボランティアの方々の努力により、外来種植物を除去し、カワラノギクやミヤコグサが生息できる環境が保全されつつあります。

「日本古来からある自然環境を保全していきましょう」という考えが、今になって見直されてきつつあります。農村環境整備の池などの設計においては、外来種植物を入れることを避け、日本古来のものを入れていくという考えが基本となりつつあります。これから先、街路樹や公園などの植物についても外来種の植栽制限がされてしまうことが近いかもしれませんね。