しかし、一度よく考えてください。これらの考えを誤訳・誤釈して捉えてしまってはいないでしょうか。
それらの考えにより設計を進めていった結果、見晴らしは良くなったけど、日陰がなく夏場は遊ぶことやくつろぐことが出来ない公園になってしまっている、風景として立体的な遠近感のある公園風景が失われてしまっている。ことが挙げられます。
都市公園の植栽においては、北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国四国、九州、沖縄で広範囲な地域ごとに同様な樹木を用いていることもありますが、細かいことを詰めていくと、その地方でしか生育できない樹木、その地方、地域では生育できない樹木を計画してしまうことがあります。
それは、紙面上、机上でしか考えていないことが原因となります。
二次的な原因として、現場に足を運ぶ余裕や機動力不足も否めません。(現地へ足を運びその土地の雰囲気などを感じ取ってくることなど)
また、樹木の植え方にしても、列状に単一種で植えるのか、単木で植えるのかによっても風景はだいぶ変わってくるものです。
植栽計画においても、空間を構成するイメージを訓練すること、感覚として身につけることが、面的な空間を設計する技術者としては必要なことであります。
空間演出手法の例 |
空間を形成する為の手法(用語)においては、
借景、アイストップ、ランドマーク、ハハア、フレーミング効果などの用語やその手法の意味を理解しておくことが重要です。
立体的に考えれば、高木の植栽も決して死角をつくってしまっているとは限らないことがわかります。
死角と日陰について |
立体的に考えないで設計を進めてしまうと、低木により結果的に死角をつくってしまっている事もしばしばあります。
こどもの遊ぶ遊戯広場的空間においても、夏場の日よけが考慮されていなく、滑り台が熱い、熱中症になってしまう空間をつくってしまっていることもしばしば。
維持管理は考えるけど、実際にその公園空間を利用する人のことを奥深く考えていない土木的な設計も見られます。
地方へ行けば行くほど、空間の手法やこれらの考えがどこか忘れられてしまっている土木的な設計となってしまっています。土木的な視点でみれば構造基準は大切なものですが、空間の本質的な構成については忘れられています。
電気を節約して、自然のエネルギーを活用しようというこのご時世。
公共の設計、民間の設計にかかわらず、いろんな意味での設計・整備の価値観や視点を見つめなおしませんか。