2011年11月19日土曜日

自然環境との共存 ~自然再生についての考え方~

11/17、18と、当社社員において自然再生セミナーの講習会(研修)に参加してきました。

内容は、自然と人間のかかわり~自然との共生、里地里山環境にいたるところまで...。

講義を聞いていると、自然再生にかかわることだけでなく、まちづくりや現代の人々においての生活のことまで関連づいていることがよくわかります。

その中で、感じたことなどについて。

「田んぼ、里地里山の環境」の話
東洋の文化は、自然との共生により成り立っていた。
昔の田んぼには、カエルやドジョウが住んでおり、イナゴもいた。
最近の農業は害虫駆除を目的に農薬を使用し、稲を育てることだけを考えているが、昔の環境では、多様な生物の性質を利用し(共存し)、鳥が虫を食べるなどで、害虫の駆除を自然の食物連鎖で行っており、間接的には東アジア全域の野鳥の生息環境までも維持していることに繋がっている。
そして人間の生活環境、食料の自給にかかわるところまで。

そ ういえば、昔はイナゴをとって、イナゴのつくだ煮をつくったり、海から遠い山間部では鯉の甘露煮をつくり食することもしています。
里地里山環境、田んぼの環境で生まれる(半分自然の力で生産される)自然の恵みを余すことなく 頂くことにもつながり、食物のサイクルを回していたことにもなっています。

イナゴも湯で茹でると、エビみたくオレンジ色になる(そうです)。
形は受け付けない方もいると思うが、食するとイナゴの佃煮は実はおいしい!!

彼岸花が田んぼに植えられている光景もみられ、飢きんのときは球根を(毒抜きして)食していたということも...。

先人たちの、自然と共生しながら生きてきたことはある意味、エコに繋がっている感じがしました。


「自然環境全般」の話
自然再生という行為に関して、局所的にしか見ていない、ある意味特定のものだけをひいきにする状況が見られるが、これだと本来の自然再生とはいえません。
ある種の動植物や生息環境を保全しようとした場合においても、それと密接に関連する環境まで、広く見ないと、その目的としている環境の保全は出来なく、失敗してしまいます。

広い視野で、人間の生活文化のことや、公園が動植物の生息に与えている影響、都市づくりの観点も考慮して考えていくことが、人間と自然とのかかわりを考えていくことにも繋がってきています。

「いろんな相関関係を理解することが重要である。」ということがわかってきます。



【自然環境の再生の設計は?】
土木や造園などの実施設計においては、一般的考えでは、設計図を忠実に再現することに趣が置かれがちであります。
しかし、自然の再生ではその考えは通用しません。自然再生の分野では、設計はあくまでもそれをサポート、保全するものとしてとらえなくてはいけません。

どういうことか?

実際には、現場の日々変わっていく状況をみて、現場で最善の施工方法を探っていくことが重要なのです。設計は、あくまでも方向性を指し示すものであり、構造物の設置の位置を細かく限定するものではないのです。

自然再生の設計は、現地の調査から設計、そして施工(管理)まで含めて行うこと、日々の自然と関わる活動を通じて学んでいくことが重要で、机上だけではできないということがわかります。ある意味、基準だけ、土木造園技術だけを知っているだけではできない分野ともいえます。
農業に従事する方でしたら、普段の畑仕事や農作業の実務が活かせることでしょうし、自然観察や土いじりなどから考え、創意工夫をしてやっていくことがこの「自然再生」という分野の仕事に必要なこととなります。


基準書だけを忠実に守っていく設計や施工では、自然再生の目的を果たすことが難しいということです。
自然再生の分野は様々な考えが入り混じり、発展途上なところもあり、日々進化しているところでもあります。
これらを理解してやっていくことが自然とうまくつきあうことのできた設計・施工方法なのかもしれませんね。

(総括としては、基準だけにとらわれない考え方を身につけることが重要で、自然をコントロールする考えから、自然と共生していく考えへシフトし、これらの考えを如何に理解し実行に移すことができるかだと思います。)